プラズマエネルギー変換分野

電磁波・荷電粒子相互作用を用いたプラズマエネルギーの生成・変換

本研究室では、荷電粒子と電磁界の相互作用を高度・高精緻に制御することにより、21世紀の人類に計り知れない恩恵をもたらす磁場閉じ込めプラズマ核融合の基礎研究を進めています。ジャイロトロンを用いた電子サイクロトロン共鳴加熱による高温プラズマの生成・加熱・電流駆動、MHD 不安定性の抑制に加え、大型イオン源を用いた中性粒子ビーム入射による高密度プラズマの生成・制御、および閉じ込め改善に関する研究を進めています。高温プラズマ中に発生する揺動は熱・粒子輸送の悪化をもたらす事が予想されており、その物理機構の理解が重要です。そのため、マイクロ波や動的ビーム分光などを用いた高度なプラズマ診断装置の開発や揺動解析による輸送の理解を進めています。

これらの21世紀の先端科学技術はいずれも電磁場と荷電粒子との非線形な相互作用を用いる技術に基づいていますので、その飛躍的な発展のためには、その相互作用を高度に、かつ高精緻に制御する必要があります。このような目的のために、装置開発と実験、シミュレーションコード開発、数値解析や最適設計など、実験と理論の両面から研究を行っています。

教員

長﨑 百伸 ( Kazunobu NAGASAKI )

教授(エネルギー理工学研究所)

研究テーマ

磁場閉じ込め核融合、電子サイクロトロン共鳴加熱・電流駆動、ミリ波工学

連絡先

宇治キャンパス エネルギー理工学研究所エネルギー複合機構研究センター北4号棟
TEL: 0774-38-3451
FAX: 0774-38-3535
E-mail: nagasaki@iae.kyoto-u.ac.jp

小林 進二 ( Shinji KOBAYASHI )

准教授(エネルギー理工学研究所)

研究テーマ

磁場閉じ込め核融合、中性粒子ビーム加熱,プラズマ診断

連絡先

宇治キャンパス エネルギー理工学研究所エネルギー複合機構研究センター北4号棟
TEL: 0774-38-3454
FAX: 0774-38-3535
E-mail: kobayashi@iae.kyoto-u.ac.jp

 

研究テーマ・開発紹介

電子サイクロトロン波によるプラズマの生成・加熱・電流駆動

究極のエネルギー源として期待されている核融合炉において,GHz周波数帯の波を利用した波動はプラズマを生成・加熱することに幅広く利用されています。安定した定常高温プラズマの生成・加熱・電流駆動を行うに当たり、加熱機構の理解と加熱手法の開発は重要な課題として位置付けられています。高パワーマイクロ波源であるマグネトロンやジャイロトロ ンを用い、電子サイクロトロン共鳴加熱によるプラズマの生成・加熱・電流駆動過程の実験及び理論解析、新古典ティアリングモード・高エネルギー粒子励起モードなどのMHD不安定性の抑制を進めています。

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高パワーマイクロ波システムの開発・応用

kWを超える高パワーマイクロ波源は,コヒーレントな電磁波源として,プラズマ加熱,大型荷電粒子加速器,高品質セラミックス開発等,多岐にわたって応用がなされています.既存の実験装置のみならず,建設中の ITER,JT-60SA,球状トーラスにおける主要加熱・電流駆動機器の開発に貢献するとともに,高パワーマイクロ波の応用を展開してゆきます。

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大電力イオン源を用いた中性粒子ビーム入射と動的ビーム分光法による高度プラズマ計測

高電圧・大電流イオン源を用いた中性粒子ビーム入射によりプラズマを高温・高密度化します。加えてプラズマの流速・電流を制御するアクチュエーターとして積極的に利用することで輸送を制御し、より好ましいプラズマ閉じ込めの状態を作り上げる手法を開発しています。また、中性粒子ビームを利用した動的ビーム分光法でプラズマ中の密度・温度・流速やそれらの揺動を計測する機器の開発を行っており、プラズマの輸送の理解に役立てています。

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不安定性制御・抑制による磁場閉じ込めプラズマの高性能化

高温プラズマ中に現れる種々の不安定性を制御・抑制することでプラズマの高性能化を図ることを研究目標としています。それら不安定性の中にはプラズマの二面性である粒子と波動が共鳴的相互作用を起こす物理的にも興味深い現象に起因したものもあり、それら物理現象の解明を目指した研究をプラズマ実験と数値シミュレーションにより進めています。

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