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複合系プラズマ分野(高温プラズマ物性分野)

核融合を目指した超高温プラズマの運動論的及び磁気流体的性質を、実験ならびに理論シミュレーション的手法を用いて解明し、あわせて高温プラズマの発生・加熱・制御の原理の探索とその応用について研究・教育を行う。 具体的には、次世代ヘリカル系の高温プラズマ閉じ込め装置開発を目的に、ヘリオトロンJ装置をもちいて、準等磁場配位を指導原理とする閉じ込め改善の実現 と磁場最適化のための物理原理の探索の実験的・理論的研究を進める。

ヘリオトロンJ装置

 核融合エネルギー開発およびプラズマの学術研究の進展を目指した「ヘリオトロンJ」装置。ヘリオトロン磁場は1950年代に京都大学において創案され、その概念は核融合科学研究所(自然科学研究機構)の有する世界最大級の大型ヘリカル装置(LHD)として世界の研究を牽引するまでに発展してきました。ヘリオトロンJはこのヘリオトロン方式をさらに発展させ、最適形状を追求した先進的プラズマ閉じ込め装置と位置づけられます。

 ヘリカル系プラズマの最適化研究は、LHD(日本・核融合科学研究所)やWendelstein 7-X (ドイツ・マックスプランク研究所)などの大型のヘリカル型実験装置、さらにはHSX(米国・ウィスコンシン大学)、NCSX(米国・PPPL研究所)、 H-1NF(オーストラリア国立研究所)、TJ-II(スペイン・CIEMAT研究所)などの中小型ヘリカル型装置により、世界各国で進めら れています。このような世界の研究動向のなかで、ヘリオトロンJ装置は、京都大学で創案された先進磁場配位であるヘリカル軸ヘリオトロン配位の最適化を目標に、平成12年度よりプラズマ実験を開始しました。世界的にもユニークで、かつ新しいパラメータ領域のプラズマ閉じ込め特性の理解に貢献しています。磁気軸の立体化によって、良好な閉じ込め特性と磁気井戸によるMHD安定化を効率的に両立させ、無電流プラズマの閉じ込め性能を格段に向上できると期待しています。

ヘリオトロンJ

ヘリオトロンJ_Schematic

ヘリオトロンJは、コイル極数=1、ピッチ数=4の一本のヘリカルコイルと、2種類、各8本のトロイダルコイル、および3対のポロイダルコイルを用いて、大半径1.2 m のドーナツ状真空容器の内部に磁場強度が 1.5 Tの閉じ込め領域(約0.8 m3)を構築します。本コイル系により磁場スペクトラムの基本因子(トロイダル、ヘリカル、バンピー)に対する制御自由度が拡大し、磁場配位研究における新しいパラメータ領域の開拓とフレキシブルな実験が可能です。

本実験装置を用いて、複合・複雑系としての高温プラズマの基礎的挙動を解明すると同時に、プラズマ物性研究とプラズマ・固定相互作用研究を効果的に両立させ、核融合科学と炉工学の融合による核融合の基礎研究を推進します。

研究内容及び特別研究テーマについて

核融合を目的とした高温プラズマの挙動、特に閉じ込めに密接に係わる磁場を横切るプラズマ輸送の解明のために、より基礎に重点を置いた研究の必要性が高まっています。研究の方向性は、おおまかに
(1)プラズマの閉じ込め  -- 磁気面のトポロジーに伴う輸送現象
(2)加熱   -- 粒子ビーム加熱や電磁波加熱シナリオに伴う高エネルギー粒子の振る舞い
(3)計測   -- プラズマ中の粒子・光・磁場を利用した物理現象の解明
(4)炉工学  --  (数多くの項目があるが例えば)プラズマー壁相互作用など
に分類され,それぞれの要素開発から総合的な物理課題まで幅広く選択肢があります。

 実験的研究では、(i)数万度の低温プラズマから1千万度を超える高温プラズマに至る加熱プロセスや付随するエネルギー輸送、(ii)不安定性や乱流現象の基礎物理、(iii)プラズマの密度や温度などを調べるプラズマ計測技術の開発やそれらを用いた物理研究などに力点を置いています。シミュレーション研究では、パソコン、ワークステーションおよびスーパーコンピュターを利用しています。さらに、スペイン、オーストラリアなどの大学・研究所間とで国際共同研究も進めており、国際色豊かな環境でリーダーシップとチームワークの育成を心がけています。

特別研究の進め方

学生の希望と適性を尊重し、テーマのマッチングを行います。テーマ毎に教員と研究チームを組み、基本事項から先端技術まで丁寧な個人指導を心がけています。研究室として毎月定期的にゼミを開き、関連分野の教員および大学院生を交えて各自の研究テーマについて多角的に議論し、研鑽を深めます。

特別研究テーマ例

(1) ヘリオトロンJにおける電磁波加熱を用いた高速イオンの生成と閉じ込めの最適化(加熱)
(2) プラズマ中に入射したレーザー光のトムソン散乱現象を利用した電子温度・密度計測(計測)
(3) 発光スペクトルの分光診断。測定原理の精査、機器開発、原子分子素過程の実験的解明(計測)
(4) 軟X線コンピュータ断層撮影法(SX-CT)を活用したプラズマ平衡・安定性の可視化(計測)
(5) 磁場閉じ込めプラズマ中の粒子(高速イオン)と波動(MHD波)の共鳴的相互作用の解明(基礎物理)
(6) 実験結果ならびに数値解析結果に基づく先進的プラズマ閉じ込め装置の数値設計(閉じ込め)
などが挙げられますが、実際には学生と教員との議論を踏まえて幅広い可能性からテーマを絞り込んでいきます。

 

教員

岡田 浩之 ( Hiroyuki OKADA )

准教授(エネルギー理工学研究所)

研究テーマ
 高温プラズマの生成および閉じ込め

連絡先
 宇治キャンパス北4号棟

門 信一郎 ( Shinichiro KADO )

准教授(エネルギー理工学研究所)

研究テーマ
 プラズマ診断法の開発、光計測、分光学、プラズマ中の原子分子過程の検証

連絡先
 宇治キャンパス北4号棟
 kado [at mark] iae.kyoto-u.ac.jp

山本 聡 ( Satoshi YAMAMOTO )

助教(エネルギー理工学研究所)

研究テーマ
 磁場閉じ込め核融合プラズマのMHD平衡ならびに安定性に関する研究

連絡先