宇宙圏電波科学分野
| 宇宙圏電波科学分野(山川研究室) |
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宇宙電磁環境の計測と利用を行なう宇宙システムに関する研究
山川研究室では,宇宙空間の電磁環境の理解および,そこを人間の生存圏として利用していくために必要となる宇宙システムに関し,工学・理学両者の観点から研究を行っています.研究分野は,宇宙システム工学,軌道ダイナミクス,宇宙プラズマ物理学から,電子工学,電波工学の広い範囲にわたっています.また,研究室として国内外の宇宙ミッションに深く関与しており,我が国の宇宙航空研究開発機構(JAXA),および,アメリカ航空宇宙局(NASA),ヨーロッパ宇宙共同体(ESA)や,国内外の多くの共同研究者と研究を推進しています.
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| 研究テーマ・開発紹介 |
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高速のプラズマ流である太陽風を宇宙機の周囲に生成した人工的な磁場で受け止めて推進する宇宙システムに関する研究 惑星間空間には太陽を起源とする高速のプラズマ流である太陽風が吹き荒れています。 磁気プラズマセイルは、宇宙機の周辺に人工的なダイポール磁場を発生させることで、この太陽風の運動エネルギーを受け止め、宇宙機に推進力を与えるシステムです。磁気プラズマセイルを現実のものにできるかどうかは、太陽風プラズマ流を受けとめるための十分な大きさの磁気圏を、探査機の持つ僅かな質量・電力リソースで実現出来るかどうかにかかっています。ここ3年ほど我々のグループは国内の研究者と共同して、このような画期的な推進システムを持つ宇宙機の実現可能性を追及すべく、数値シミュレーション、および、真空チャンバを使用したスケールモデル実験により磁気プラズマセイルの基本原理の確認を行なってきました。その結果得られた推進性能を仮定することで、惑星間飛行あるいは太陽系脱出までもが従来と比較して短時間で実現することを示し、 同時に宇宙機の具体的なシステム検討を行ないつ つあります。宇宙機の質量、電源、熱制御等のシステム設計の精度を上げるべく、磁気プラズマセイル宇宙機の中核技術である宇宙用超伝導電磁石システムに関して、研究開発を進めつつあります。
宇宙圏電磁環境モニター(宇宙空間飛散型センサーネットワーク)に関する研究 これまで当研究室で開発を行ってきた、衛星搭載用プラズマ波動観測器のアナログ部を、アナログASICという集積回路内に実現させる研究を行っています。これにより、従来、A4基板1枚の大きさであったものが、数mm角のチップ内に納められてしまうことになります。一方で、この小型化技術を応用して、宇宙電磁環境を、多くの点で手軽に測定できる「宇宙圏電磁環境モニター」の研究も行っています。これは、アナログASICによって実現される小型のセンサーとそれを無作為にばらまいた状態で、各ポイント毎の位置捕捉・観測データの転送を制御する装置からなっています。宇宙で人類が活動する際、宇宙圏環境に対して与える乱れをモニターする目的をもっている他、地上におけるセンサーネットワークシステムにも応用が期待されています。
宇宙空間プラズマ中におけるエネルギー輸送を直接観測する「波動-粒子相互作用解析装置」に関する研究 次世代の磁気圏探査衛星では、そこで発生している、粒子と波動のエネルギー交換過程を従来よりも、3桁以上高速にした時間スケールで観測することが重要と言われています。それを実現するためには、従来のように、地上に観測データを転送してからデータ解析を行う、というプロセスでは間に合わず、オンボードでの高速「波動-粒子相互作用解析」が必要となります。当研究室では、オンボードでしかもワンチップ で解析を行うことのできる「デジタル型波動-粒子相互作用解析装置(WPIA: Wave Particle Interaction Analyzer)」の開発を行っており、そのプロトタイプの試験を現在行っています。
日欧国際水星探査計画BepiColomboの水星磁気圏探査機に関する研究 太陽系惑星の中で,「水星(Mercury)」は,太陽に一番近い惑星で,これまで米国の探査機マリナー10号が,1974年からのフライバイ時に観測を行ったのみで,水星を周回軌道からきちんと探査した衛星はありません.特に,マリナー10号の観測結果から,水星には弱いながら固有磁場があることがわかっており,地球がもつような磁気圏が形成されている可能性があります.日欧共同で開発を行っているBepiColombo水星磁気圏探査機は,人類で初めて水星の磁気圏を探査する衛星となり,2013年に打ち上げを予定しています.山川研究室は,この水星磁気圏探査機のシステム開発携わっている他,搭載するプラズマ波動観測装置の開発も行っています.
宇宙機の軌道ダイナミクスと制御に関する研究 地球周回軌道上の人工衛星や、月や惑星の探査を行う探査機による宇宙観測・探査・利用ミッションの実現において、どのような軌道上に宇宙機を配置するかが、人工衛星の規模からシステム設計に至るまで宇宙ミッションの全体計画を決める上で非常に重要である。月や惑星の運動を解き明かす過程で生まれたケプラーの法則、ニュートンの力学は、この数百年の間に天体力学という分野を切り拓いてきたが、宇宙機においては、さらに、搭載宇宙推進エンジンによる軌道制御の観点が加わるために、その研究対象は天体力学をさらに広げたエキサイテイングなものとなっている。 また、実際の宇宙機のシステムを考慮する必要があるために、新たな観測装置、新たな推進系、新たな電源系等の進歩に応じて、軌道ダイナミクスと制御の観点からも研究領域がさらに広がりつつある。本研究室では、太陽エネルギーを用いた宇宙推進システム、例えば、太陽風を推進力に変換する磁気セイルによる外惑星探査、太陽光圧を利用するソーラーセイルによる地球磁気圏探査・惑星探査、レーザーやマイクロ波による遠隔点からのビームエネルギーによる軌道変更技術、電気推進エンジンと惑星重力を積極的に利用して軌道変更を行うスイングバイ技術による惑星・小惑星・彗星探査軌道の最適化、地球周回軌道におけるクーロン力を用いた編隊飛行の軌道制御、 太陽・地球・宇宙機の3体問題における重力・遠心力の平衡点であるラグランジュ点近傍での宇宙観測軌道等、多くの研究を行っている。
マイクロ波無線電力伝送機能を持つ移動体災害システムの研究 本研究が対象とするのは、マイクロ波による電力と情報の同時無線送受信技術である。無線LAN等、マイクロ波による情報送受信技術の研究が盛んに進められているが、これに電力送信という観点を付加することにより、多様なアプリケーションを開拓していくことを意図する。送電という観点から見ると、京都大学生存圏研究所では、地上応用例としてはユビキタス電源システムの研究、自動車への無線充電に関する研究等を進めてきた。また、近い将来の宇宙応用例としては、地球周回軌道上にある宇宙太陽発電所(SPS)から太陽電池で発生した電力をマイクロ波に変換して地上へ無線送電するシステムに関する研究を精力的に行なっており、これらの研究成果を本提案研究に応用していく計画である。技術実証の観点から、飛行船にマイクロ波出力装置を搭載して、電力と情報を地表に向けて送信する実験を予定している。
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