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ナノプロセス工学分野

原子あるいは分子の塊状集団であるクラスターは、我々の周囲の巨視的な世界と原子・分子が活動する微視的な世界を繋ぐ役割を果たしているナノサイズの超微粒子で、バルク状態の性質と全く異なる性質を示します。また、クラスターをイオン化・加速して材料表面に照射すると、高密度照射効果や多体衝突効果など、クラスターイオン特有の照射効果を示します。このような特徴を持つナノ粒子を常温で固体、液体、気体の材料から生成し、さらに、そのサイズや構造のみならず、その物理的・化学的性質を制御したテイラードクラスターイオンの生成と工学応用の研究を行っています。この研究は、クラスター科学や材料科学の新しい展開、および先進的なイオンビームプロセス技術の開拓を行う上で、益々重要になっています。

教員

龍頭 啓充 ( Hiromichi RYUTO )

龍頭 啓充講師(工学研究科 附属光・電子理工学教育研究センター)

研究テーマ

  • 重粒子イオンの発生と輸送に関する研究
  • 重粒子イオンビームの照射過程に関する研究
  • バイオ材料創製に関する研究

連絡先

京都大学桂キャンパスA1棟130号室
TEL: 075-383-2330
FAX: 075-383-2343
E-mail: ryuto kuee.kyoto-u.ac.jp

竹内 光明 ( Mitsuaki TAKEUCHI )

竹内 光明助教(工学研究科 附属光・電子理工学教育研究センター)

研究テーマ

  • イオン液体イオンビームに関する研究
  • 多原子分子イオンビームに関する研究
  • 極低エネルギーイオンビームに関する研究
  • 高機能薄膜工学に関する研究

連絡先

京都大学桂キャンパスA1棟112号室
TEL: 075-383-2339
FAX: 075-383-2343
E-mail: m-takeuchi kuee.kyoto-u.ac.jp

研究テーマ・開発紹介

ノズルビームによるクラスター生成に関する研究

蒸気圧が数気圧以上の蒸気をノズルから真空中に噴射させることによって、断熱膨張現象によるナノサイズのクラスターの生成に成功しています。これまで、水やアルコールなどの液体クラスターの生成以外にアルゴン、酸素などのガスクラスターの生成も行っています。さらに、1個のクラスターを構成する分子数(クラスターサイズ)について、減速電界法や飛行時間型質量分析法によってサイズ測定を行い、クラスターサイズは数百~数万分子に分布していることが分かっています。生成されたナノ粒子(クラスター)はバルク状態と異なる物理的・化学的性質を示す新規な材料、例えば、水であって水でない材料として世界的に注目されています。

クラスターイオンビームプロセスの研究

クラスターイオンと固体表面との相互作用はピコ秒からナノ秒の瞬時の衝突過程で、また固体表面への1個のクラスターイオンの照射領域は、ナノメーターオーダーの極微細領域です。したがって、従来のモノマーイオンビームでは得られない高密度照射効果や多体衝突効果によって高いスパッタリング率やラテラルスパッタリング効果によってナノレベルでの表面平坦化が可能となります。また、超低エネルギー照射効果によって、照射表面の損傷を抑制することもできます。特に、液体クラスターイオン照射では、材料表面の高速エッチングや表面平坦化と併せて、液体クラスターの化学的特性を併用することによって、材料表面の親・疎水性や潤滑性などの制御、付加・置換反応による表面改質などを行うことができます。現在、半導体分野における洗浄工程では、水やアルコールは材料表面の洗浄に必要不可欠な材料ですが、表面をエッチングすることはできません。このように、クラスターイオンビーム技術は、従来のウエットプロセスの限界を打破する材料プロセス技術として国内外で高い評価を得ています。

高機能材料創製の研究

高度情報化(IT)時代におけるデバイスについては、益々高密度化、高集積化が進んでいます。また、材料については、材料自身の性質のみならず、その表面・界面をも原子レベルで制御した高機能材料の創製が要求されています。その中で、超微細領域の表面・界面を原子・分子レベルで制御できる材料プロセス技術として、クラスターイオンビーム技術は様々な工学分野や生化学分野で応用されています。例えば、環境・バイオ時代への対応として、クラスターイオンビームを援用した光触媒材料や医用材料の創製を行っています。従来のゾル・ゲル法による薄膜と比較すると、表面がナノレベルで平坦で、基板との接着力も良く、均一で高機能な薄膜が形成されます。イノベイティブ(革新的)材料創製には、従来の熱的、化学的手法では自由度が少ないため、クラスターイオンビームプロセスのように、クラスターイオンの種類やサイズ、運動エネルギーなどを自由に制御できる革新的なプロセス技術の開発が重要となっています。