半導体物性工学分野(木本研究室)

新しい半導体技術で21世紀のIT,PTのキーデバイスを創造します

2005年2月に京都議定書が発効され、「環境の世紀」が始まりました。二酸化炭素排出量の削減は火急の課題です。鉄道や電気自動車、エアコンや冷蔵庫などの、電力機器においては、エネルギー利用効率の一層の向上が求められています。その鍵となるのがインバータと呼ばれる電力変換回路の中核部品である半導体パワーデバイスの性能向上です。一方で、携帯電話やインターネットに代表される情報通信技術の進展は著しく、その発展には多量の電気エネルギーの消費を伴います。情報通信機器に関しても、計算速度、通信速度、記憶容量などの高性能化だけでなく低消費電力化が強く求められています。

これまでの半導体デバイスを支えてきたのは主にシリコン(Si)であり、その高性能化の歴史はMOSトランジスタの微細化の歴史でした。しかしながら、従来技術の延長である「微細化(スケーリング)」による高性能化は、近い将来、様々な物理的障壁(短チャネル効果、発熱、量子力学的ゆらぎなど)に直面します。したがって、今後、半導体デバイスのさらなる高性能化と低消費電力化を両立させるためには、新しい原理や新しい材料を導入し、ナノテクノロジーに代表される先端技術を積極的に活用することが重要となります。「環境元年」は、半導体材料・デバイスの研究開発にとっても大きな転換期です。半導体分野は新たな局面を迎えた活気に溢れる学際分野を提供しています。本研究室は、まだ作製技術や電子物性が明らかにされていない新規半導体材料の開拓に取り組み、また、新規なデバイス構造を取り入れることで、高性能化と共に低消費電力化を達成することを目指します。21世紀のIT(Information Technology, 情報技術)、PT(Power Technology, エネルギー技術)の基盤となる半導体デバイスの創造に向けて、半導体電子物性の解明と制御、半導体結晶成長などの基礎研究から、半導体パワーデバイスの設計、試作・評価など応用研究まで幅広く展開しています。

教員

木本 恒暢 ( Tsunenobu KIMOTO )

木本 恒暢教授(工学研究科 電子工学専攻)

研究テーマ

ワイドギャップ半導体シリコンカーバイド(SiC)の化学気相エピタキシー、電子物性制御、物性評価、イオン注入による局所不純物添加、酸化膜/SiC界面電子物性制御、SiCデバイスの作製。プラズマ励起活性種を用いたSiおよびSiC用酸化膜形成プロセスの開発。

担当授業

  • 物性デバイス基礎論
  • 半導体工学 など

連絡先

桂キャンパスAクラスターA1棟303号室(A1-303)
TEL: 075-383-2300 (直通)
FAX: 075-383-2303(研究室共用)
E-mail: kimoto kuee.kyoto-u.ac.jp

金子 光顕 ( Mitsuaki KANEKO )

助教(工学研究科 電子工学専攻)

研究テーマ

高温動作SiC集積回路の開発

連絡先

桂キャンパスAクラスターA1棟303号室(A1-303)
TEL: 075-383-2302 (研究室)
FAX: 075-383-2303 (研究室共用)
E-mail: kaneko semicon.kuee.kyoto-u.ac.jp

主な研究テーマ

  • ワイドギャップ半導体シリコンカーバイドの結晶成長
  • ワイドギャップ半導体III族窒化物の結晶成長
  • ワイドギャップ半導体の電子物性、欠陥構造の解明と制御
  • 新規構造・新規作製技術による半導体パワーデバイスの高性能化・超低損失化
  • 抵抗変化材料などの機能性電子材料の開拓と半導体デバイスとの融合
  • ワイドギャップ半導体材料を用いたMicro Electro Mechanical System(MEMS)