システム創成論分野
ワイヤレス人体センシング:新時代の幕開け |
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昨日はよく眠れましたか。今朝の目覚めはどうだったでしょうか。今日は気分が軽いでしょうか。それとも、何か不安を抱えているでしょうか。最近、夢中になっていることはありますか。嬉しいことがあったとき、悲しくなったとき、怒りを感じたとき、その感情を誰に伝えるでしょうか。私たちは日々、無意識のうちに膨大な「人体の情報」を発しています。呼吸、心拍、姿勢、しぐさ、表情、声の調子、感情の変化――それらはすべて、私たち自身を映し出す重要なシグナルです。 近年、インターネット、SNS、AI技術の発展により、人間に関する情報は爆発的に増大しています。行動、感情、思考、生体反応といった「人体の情報」は、AIによって解析され、新しい価値へと変換される時代に入りました。人間を正確に計測し、理解する技術は、次世代社会を支える重要な基盤技術となりつつあります。しかし、人間の身体は極めて複雑です。人体は複雑な形状を持ち、絶えず動き続け、さらに環境や刺激に応じて多様に変化します。そのため、人間を正確に計測し、理解することは簡単ではありません。 人体センシングは、大きく分けて、1)人体計測、2)データ信号処理、3)生体情報処理、の3つの要素から構成されます。これまで、これらは異なる研究分野として個別に発展してきました。しかし、本当に人間を深く理解するためには、それらを分断して考えるだけでは不十分です。 本研究室では、人体センシングを「人間を理解するための統合科学」と捉えています。計測技術、信号処理、情報解析をひとつのシステムとして融合し、「人体センシングに特化した統合計測技術」の実現を目指しています。見えない呼吸を捉える。わずかな身体の動きを読み取る。感情や状態の変化を非接触で理解する。私たちは、人とテクノロジーの新しい関係を切り拓く人体センシングの未来に挑戦しています。具体的には、電波とAIを融合した次世代ワイヤレス人体センシング技術の研究を進めています。 近年、AI技術の急速な発展により、コンピュータは画像、音声、言語だけでなく、人間そのものを理解する段階へと進みつつあります。その中で注目されているのが、アンビエント人体センシングです。ワイヤレス人体センシングでは、カメラのように映像を取得することなく、電波を用いて人の存在や状態を非接触で計測できます。さらに、衣服や遮蔽物を透過して人体の微細な動きを捉えられるため、呼吸、心拍、姿勢、行動、睡眠状態など、多様な人体情報を遠隔から取得可能です。 さらに近年では、単なる生体計測にとどまらず、人の健康状態、疲労、ストレス、感情変化、認知状態などを推定する「人間理解技術」への発展が期待されています。人間と空間がリアルタイムにつながり、AIが環境全体を知覚する未来社会において、ワイヤレス人体センシングは重要な基盤技術になると考えられています。当研究室では、電波計測、信号処理、AI、システム理論を融合し、未来の知的センシング空間を実現するための研究を進めています。
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教員
阪本 卓也 (Takuya Sakamoto)
教授(工学研究科 電気工学専攻)
連絡先
京都大学桂キャンパス A1棟 4階 409号室
TEL: 075-383-2257
E-mail: sakamoto.takuya.8n (at) kyoto-u.ac.jp
https://www.ist.kuee.kyoto-u.ac.jp/~t-sakamo
研究テーマ
研究テーマ
- システム理論的人体センシング
- 非接触生体計測
- ワイヤレスイメージング
- レーダ人体計測
