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電磁エネルギー工学分野

近年の計算機とソフトウェアの進歩を背景に,電気電子工学の分野においても電磁界や材料物性などに関する計算機解析は欠かせない技術となっており,その重要性は年々大きくなっています。それに伴って,計算機解析に要求される内容は高度化し,単なる計算機性能と計算機利用技術の向上だけでは対処できなくなっています。そのため,解析対象の物理的・数学的な性質に基づいた高度な解析手法の開発が必要とされています。

そこで,本研究室では,電磁界および磁性材料の計算機解析におけるキーとなる理論や手法の研究を行っています。すなわち,電磁界方程式の数理的性質に基づいた計算電磁気学の理論的な研究や,それを応用した高速電磁界解析手法の開発,ならびに,磁性材料の磁気特性シミュレーション手法の開発などに取り組んでいます。

教員

松尾 哲司 ( Tetsuji MATSUO )

松尾 哲司教授(工学研究科 電気工学専攻)

研究テーマ

  • 計算電磁気学
  • 磁性体のモデリング

連絡先

TEL: 075-383-2212
FAX: 075-383-2213
E-mail: tmatsuo@kuee.kyoto-u.ac.jp

美舩 健 ( Takeshi MIFUNE )

講師(工学研究科 電気工学専攻)

研究テーマ

  • 計算電磁気学
  • 並列処理

連絡先

TEL: 075-383-2217
E-mail: mifune@fem.kuee.kyoto-u.ac.jp

研究テーマ・開発紹介

有限積分法と時空格子による計算電磁気学の枠組み

通常の電磁界解析では,空間と時間は別々に取り扱われます。しかし,電磁界の方程式においては,両者を時空間として統一的に取り扱うことが可能です。時空間で計算格子を構成すると,電磁界計算の自由度は大幅に向上します。そこで,有限積分法と時空格子を用いた計算電磁気学の新たな枠組みの構築に取り組んでいます。

マルチスケール計算磁気学

ナノオーダーの微細化が進む磁気デバイスの解析手法としてマイクロ磁気学シミュレーションの手法が発達しています。一方で,鉄芯材料が用いられるスケールは広い範囲にわたり,マイクロ磁気学シミュレーションでは解析できないサイズが殆どです。しかし,鉄芯材料のマクロ磁気特性は,材料内の磁区や結晶などのミクロな構造に由来し,この影響を明らかにするためにはマイクロ磁気学による解析が必要です。そこで,結晶粒や磁区のマイクロ磁気学的な振る舞いが,マクロな磁気特性に及ぼす影響を記述し,マクロ磁気特性を計算機上で再現することができるようなマルチスケール計算磁気学の研究を行っています。

磁性体のベクトルヒステリシス特性のモデリング

上記のような鉄芯材料はヒステリシス特性などの複雑な磁気特性を持っており,それが電磁界計算の高精度化の妨げとなっています。そこで,鉄芯材料として広範に用いられている電磁鋼板のベクトル磁気ヒステリシス特性を精度よくモデル化する手法の研究を行っています。

陽的/陰的誤差修正と折畳前処理による高速線形解法

電磁界解析で広く利用されている有限要素法では,最終的に大規模な連立方程式の求解が必要となります。本研究室では,有限要素法で現れる連立方程式を効率的に解くための線形反復解法について研究を行っています。最近の成果としては,陽的/陰的誤差修正と折畳前処理があります。陽的/陰的誤差修正は,電磁界解析で広く利用されているA-φ法・マルチグリッド法などの手法を一般化した,反復解法の新しい枠組みです。一方,折畳前処理は,電磁界解析で頻繁に現れる特異な係数行列を持つ(つまり無数の解を持つ)連立方程式を効率的に扱うための手法です。

有限要素高周波解析ソフトウェアと並列処理

上の項目でも述べましたように,本研究室では有限要素法などで現れる大規模連立方程式に対する線形解法について研究・開発を行っています。その一環として,マルチグリッド法と呼ばれる線形解法と並列処理の活用を特徴とする高周波有限要素解析ソフトウェアの開発に取り組んでいます。

代数マルチグリッド法を用いた高速電磁界シミュレーション

マルチグリッド法は,有限要素法で現われる連立方程式に対する高速解法として,現在最も有力視されているものの一つです。ただし一般にその性能を十分に発揮するためには,扱う問題の性質・使用するメッシュの詳しい情報に加えて,マルチグリッド法の詳細について使用者が熟知していることが求められます。これに対して代数マルチグリッド法はマルチグリッド法の一種ですが,解法の詳細を熟知していない使用者にも容易に利用できることを目指した手法です。本研究室では,電磁界解析で広く用いられている辺要素解析に対する効果的な代数マルチグリッド法の開発を目標として研究を進めています。