マイクロ波エネルギー伝送分野(生存圏電波応用分野/篠原研究室)

篠原研究室では、宇宙太陽発電所SPSの研究と、SPSにも用いられるマイクロ波エネルギー伝送(マイクロ波送電)と呼ばれるマイクロ波帯の電波用いた無線でのエネルギー(電力)伝送の研究を中心に行っています。またマイクロ波加熱応用に関する研究開発も行っています。

関連する学問分野:マイクロ波工学、電波工学、情報通信工学、電磁気学、電子回路、信号処理、自動制御工学 等

漫画「マイクロ波送電ってナニ!?」を作成しました。(生存圏研究所広報資料「生存圏だより」No.4に掲載)

教員

篠原 真毅 ( Naoki SHINOHARA )

教授(生存圏研究所)

研究テーマ

  • 宇宙太陽発電所SPSに関する研究
  • マイクロ波エネルギー伝送と無線電力伝送に関する研究
  • マイクロ波加熱による新材料創生の研究

連絡先

〒611-0011 宇治市五ヶ庄 京都大学 生存圏研究所
TEL: 0774-38-3807
FAX: 0774-31-8463
E-mail: shino@rish.kyoto-u.ac.jp

三谷 友彦 ( Tomohiko MITANI )

三谷 友彦准教授(生存圏研究所)

研究テーマ

マイクロ波エネルギー伝送、マイクロ波加熱応用
マイクロ波エネルギー伝送送受電システムに関する研究や、マイクロ波加熱応用に関する研究として、マイクロ波電子管(マグネトロン)の高効率化・低雑音化、マイクロ波加熱装置の開発に従事しています。また研究学内外の研究者と共に共同利用設備「マイクロ波エネルギー伝送実験装置」を通じたマイクロ波エネルギーの新規応用に関する研究にも従事しています。

連絡先

〒611-0011 宇治市五ヶ庄 京都大学 生存圏研究所
TEL: 0774-38-3880
FAX: 0774-31-8463
E-mail: mitani/henkan/rish.kyoto-u.ac.jp (/henkan/を@に変換)

研究テーマ・開発紹介

宇宙太陽発電所SPSに関する研究

宇宙太陽発電所SPSとは、宇宙空間に太陽電池を設置し、マイクロ波を用いて無線で 地上に電力を送り利用する将来の発電所構想です。太陽光発電の安定性と設備稼働率を向上させる新しい基幹エネルギー源のひとつとして注目されています。 SPSのための研究設備A-METLABも2010年度に導入され、研究を進めています。

宇宙太陽発電所概念図
宇宙太陽発電所SPS概念図

「マイクロ波」とは波長30cm~1cm(周波数1GHz~30GHz、"G"はギガと読み10億を意味する。)の電波であり、携帯電話や無線LAN、衛星放送、電子レンジ等、我々の身近な生活で広く利用されています。本研究室では、このマイクロ波を使った新たな応用としてマイクロ波エネルギー伝送の研究を 行っています。実際に行っている研究例として、小型端末機器への電力供給が可能なユビキタス電源の研究、ZigBeeセンサーへの無線給電、電気自動車に 対する無線電力供給システムの研究、建物内無線配電システムの研究等、様々な無線電力伝送応用研究を行っています。研究には1996年度に導入された電波暗室METLABを用いています。

電気自動車無線充電
マイクロ波による電気自動車への無線充電実験

マイクロ波エネルギー伝送用送受電システムの研究開発

マイクロ波帯の半導体送信機及び電子管を用 いたマイクロ波送電システムには各々課題があり、低損失かつ高精度なものが要求されます。当研究室では、電子レンジ等の加熱用に広く利用されているマグネトロンをマイクロ波発生素子として用いた高効率・高精度・低ノイズ・軽量・安価な送電システム、半導体素子を用いた小型・軽量・高機能な送電システムの研究開発を行っています。また、更なる高効率化・小電力化/大電力化・小型化が要求されているマイクロ波受電素子(レクテナ)の研究開発も行っています。これらの研究課題に対して、マイクロ波回路シミュレータを用いた設計から回路製作・計測実験までの全行程を行っています。

レクテナ整流回路
大電力マイクロ波整流回路

大規模送電アンテナのビーム制御に関する研究

マイクロ波送電システムにおいては、基本的には電力を受信する側からパイロット信号を送り、その方向にアンテナのビームを向けて送電するシステムとなっています。パイロット信号を誤差なく受電し、正確なパ イロット信号到来方向を検知しビーム制御するレトロディレクティブシステムの開発研究や、パイロット信号を必要としない新しいビーム制御方式の研究、低サ イドローブ実現のためのアレイアルゴリズムの開発等、計算機シミュレーションと回路製作、実験を組み合わせた研究を行っています。

マイクロ波加熱応用に関する研究開発

マイクロ波加熱は電子レンジとして世界中で広く利用されている加熱方式であり、短時間でムラなく加熱できるという特徴から、省エネルギーな加熱方式として期待されています。本研究では、この特徴を活かしたマイクロ波加熱応用研究として、木質バイオマスからバイオエタノールを生成するためのマイクロ波加熱前処理装置の設計開発、マイクロ波照射による高機能材料の生成に関する研究を行っています。

木質バイオマス加熱用マイクロ波照射装置
木質バイオマスからバイオエタノールを生成するためのマイクロ波加熱前処理装置の設計開発