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光材料物性工学分野(川上研究室)

私たちの研究室では,光と物質との相互作用に基づく新物性の発現と解明,さらには,それを利用した新しい光デバイスや光応用への展開を推進しています。具体的には, 以下のようなテーマが,挙げられます。

  1. 多波長発光する低次元InGaN微小光源の開発
  2. 光ダイナミクス計測による光物性の探求
  3. 光によるバイオセンシング
  4. 白色LEDゴーグルの特許化・製品化とVB起業

上記の(1)~(4)は,個別なテーマのように見えますが,相互に依存しています。例えば,(1)は,ナノ構造制御によって任意の色,任意の大きさ,任意の場所において,効率100%で発光する究極の光材料の開発を目指したものですが,基礎光物性を材料開発にポジティブにフィードバックすることが不可欠であり,(2)とも密接にリンクしています。

また,光材料物性の応用の一例として,私たちは,バイオ医療応用では次のような展開が期待できるのではないかと思い描いています。近未来には「ミクロの決死圏」に代表されるマイクロマシンが私たちの体内に入り込む時代が訪れるでしょう。その際には,微小な高品位固体照明と固体撮像デバイスが必ず搭載され,微妙な色合いの差を際立たせるための照明スペクトルのシンセサイズが必要とされるはずです。また,病変部にのみ選択的に取り込まれる蛍光体と固体照明との組み合わせでガン組織の診断・治療を行うなど種々の可能性が期待できるでしょう。その意味で,(1)と(2)は,(3)や(4)とも関連しています。

固体照明は,自動車のヘッドライトなどの一般照明はもとより,マイクロサイズあるいはナノサイズの光源としての可能性を秘めており,それを支える基礎光物性と材料開発,そしてバイオ応用などの研究に日夜取り組んでいます。

教員

川上 養一 ( Yoichi KAWAKAMI )

川上 養一教授(工学研究科 電子工学専攻)

研究テーマ

  • 窒化物半導体からの多波長発光デバイスの開発
  • 超短パルスレーザを用いたワイドギャップ半導体の光物性
  • 白色LEDのための蛍光体開発や固体照明応用

連絡先

京都大学桂キャンパスA1棟318号室
TEL: 075-383-2310
FAX: 075-383-2312

船戸 充 ( Mitsuru FUNATO )

准教授(工学研究科 電子工学専攻)

研究テーマ

窒化物半導体の有機金属気相成長と物性評価・デバイス応用

連絡先

京都大学桂キャンパスA1棟317号室
TEL: 075-383-2311
FAX: 075-383-2312

石井 良太 ( Ryota ISHII )

助教(工学研究科 電子工学専攻)

研究テーマ

ワイドギャップ半導体の励起子光物性

連絡先

京都大学桂キャンパスA1棟317号室
TEL: 075-383-2311
FAX: 075-383-2312

研究テーマ・開発紹介

光物理現象の評価技術の確立

窒化物半導体発光素子では,発光層にナノメートル程度のポテンシャル揺らぎが存在し,それがキャリアのナノ局在中心として働くことによって光学特性が決定されているということが,われわれのこれまでの研究で解明されている.

従来は,このような微小領域におけるキャリアの振る舞いを直接観察する手段はなく,巨視的な測定を組み合わせてモデルを構築する手法が取られていたが,本研究では,これを直接,しかも時間変化もあわせて捕らえ可視化するナノ光センシング技術の確立を目指し,近接場光学顕微鏡をはじめとする顕微光計測技術の開発を行っている.

下の図は,マルチモード近接場分光法によるキャリアダイナミクス観測の概念図.

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光物理現象の解明と高性能化への基礎技術の確立

半導体発光素子における発光現象の理解には,電子・正孔といったキャリアの振る舞いの理解が不可欠である.時々刻々と変化するキャリアの振る舞いを,超短パルスレーザを用いてフェムト秒(10^-15秒)やピコ秒(10^-12秒)の時間オーダーで追跡し,さらに、近接場光学顕微鏡や共焦点レーザ顕微鏡を用いて、ナノ~サブミクロンの領域で追跡し、解明する研究を行っている.特に,窒化物半導体のようにナノ局在中心が発光に寄与している場合,キャリアの励起,拡散,緩和,捕獲,再結合など多数の素過程が,最終的に観測される発光特性に影響を与えている.キャリアダイナミクスと他の素子特性を関連付けるこのような研究を通じて,より高い発光効率を持った素子の開発を目指している.

下の図は,マルチモード近接場分光法により観測したInGaN量子井戸構造の発光マッピング結果.矢印の部分でキャリアの拡散に起因したコントラストの違いが見えている.

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ナノ構造制御による新光機能性材料・デバイスの開拓

窒化物半導体発光素子では,これまで二次元的な量子井戸が用いられてきた.これに対して本研究では,微細構造を導入し,三次元的に構造制御された発光構造に着目している.三次元構造にすることにより,ナノ局在中心の人為的制御に基づいた発光の高効率化,異なる面における異なる構造特性(組成,膜厚)に基づいた多色発光,傾斜面における分極低減効果に基づいた発光の高効率化,など新しい機能の創出が期待される.このような構造を,現在産業界で主流でとなっている有機金属気相成長法によって作製し,その物性評価を行っている.

下の写真は,三次元マイクロ構造の概略図とその走査型電子顕微鏡写真,およびそれが白色発光をしている様子を示している.

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高性能光デバイスの産業応用

一般に,開発した部品を広く社会に浸透させるためには,応用分野の新規開拓が重要である.本研究室では,半導体発光素子(発光ダイオードやレーザダイオード)による応用分野として特殊用途照明に着目し,窒化物半導体白色発光ダイオードを用いた医療用照明や文化財などのライトアップを提案してきた.このような未踏の分野を開拓することによって新しい産業の芽生えにつながると考えている.

下の写真は,試作したLEDゴーグル.

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